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会社のクルマが「動く蓄電池」に?EVとV2Bが拓く、未来のエネルギー戦略

固定式蓄電池からもう一歩先へ

法人向けの蓄電池導入では、電気代の削減やBCP対策への関心が高まっています。固定式蓄電池の導入は普及しつつありますが、さらに注目されているのが、社用車として導入済みのEV(電気自動車)を「動く蓄電池」として活用するアプローチです。

固定式の蓄電池だけに頼るのではなく、既存のEVフリートをエネルギー資産として使う発想が、企業のエネルギーマネジメントを大きく変えつつあります。

V2B(Vehicle to Building)技術とは?

V2B(Vehicle to Building)とは、EVの大容量バッテリーを「動く蓄電池」として活用し、EVから建物へ電気を供給する技術です。双方向充電に対応した充電器(EVSE)とパワーコンディショナーを組み合わせることで実現します。資源エネルギー庁のV2G関連ページでも、EV蓄電池の活用促進が重要施策の一つとして挙げられています。

具体的な活用シーン

例えば、太陽光パネルを設置している工場やオフィスを想像してみてください。日中、太陽が出ている間に営業車のEVを充電しておきます。そして、電力需要がピークになる夕方や、曇りで発電量が落ちた時に、そのEVから建物に電気を供給するんです。

固定式の蓄電池に加えて、社用車フリート全体が巨大な調整電源になる仕組みです。日本でも経済産業省がアグリゲーター(多数のエネルギーリソースを束ねて制御する事業者)を育成する実証事業を実施しており、V2Bの実用化に向けた制度整備が進んでいます。

実際にどれくらいのインパクトがあるの?

実際のインパクトは建物の電力使用パターンや契約プラン、車種によって異なります。ここでは代表的な試算例として考え方を整理します。

具体例:日産アリア10台の場合

例えば、バッテリー容量が60kWhの日産アリアを10台社用車として導入したとします。これで合計600kWh。これはもう、中小工場なら1日の電力使用量のかなりの部分をカバーできるくらいの容量です。

  • 夜間・太陽光発電時:電気料金が安い時間帯にEVを満充電
  • 昼間ピークタイム:電気料金が高い時間帯にEVから放電
  • 電価差の活用:この価格差(専門用語で「電価差」)を利用して電気代を大幅削減

資源エネルギー庁の見通し

下の図は資源エネルギー庁の資料からですが、2030年に向けて、EVやPHEVのバッテリーがエネルギー調整力として大きな役割を果たすことが期待されているのが分かりますよね。

未来の電力ネットワークを支えるV2G

(出典:資源エネルギー庁「未来の電力ネットワークを支える「V2G」」)

もちろん、課題もあります

V2B導入にはいくつかの課題もあります。EVを常に業務で使えるよう確保しながら充放電スケジュールを組む運用管理、充放電サイクル増加によるバッテリー劣化への対策、V2B対応充電設備の初期投資、そして電力取引に関する制度対応が主な検討事項です。日産・三菱自動車などは対応充電システムの普及を進めており、日産のV2X関連情報ページでも技術概要を確認できます。

主な課題

  • 運用管理:EVをいつでも使えるようにしておく必要性
  • バッテリー劣化:充放電回数による劣化の考慮
  • インフラ整備:V2B対応充電設備の導入コスト
  • 制度・規制:電力取引に関する規制対応

「攻めの経営戦略」としての脱炭素

これからの脱炭素経営は、ただ環境に良いことをするという守りの姿勢だけでなく、EVと蓄電池を連携させることでコストを削減し、新たな価値を生み出す「攻めの経営戦略」になっています。政府の2050年カーボンニュートラル目標に向けて、こうした取り組みへの補助金・税制優遇も拡充されており、投資対効果を高める環境が整いつつあります。

まとめ:固定観念に捉われない新しいエネルギーマネジメント

固定観念に捉われず、会社の資産をフル活用する。そんな新しいエネルギーマネジメントの形を、これからも探求していきたいですね。

この記事のポイント

  • V2B技術で社用車EVが「動く蓄電池」に変わる
  • 電価差を活用した電気代削減が可能
  • 60kWhのEV×10台で600kWhの調整電源を確保
  • 固定式蓄電池と組み合わせることで効果を最大化
  • 2030年に向けてEVの調整力としての役割が拡大