ニュースの概要
ジャパンブランディングは、全固体電池が系統用蓄電池に及ぼす影響と実用化の時期を取り上げるオンラインウェビナーを、11月下旬に開くと発表した。現在のリチウムイオン電池は、電気を運ぶ液体の電解液を使っている。これを固体に置き換えると、発火しにくくなり、温度の変化にも強く、急速充電や高い蓄電密度も見込めるという。系統用蓄電池では、電解液が消防法で危険物に当たることが設置の制約になっている。全固体化によって、建物や敷地境界との距離、保安上の手続きがどう変わりうるかが議題になる。
引用元: 全固体電池の系統用蓄電池への応用と実用化時期を解説するウェビナー開催へ(PR TIMES)
分析・見解
技術の優劣より、法規制が設置コストを決める
全固体電池の話題は、エネルギー密度の高さや充電の速さに偏りがちである。しかし系統用蓄電池の現場で効いてくるのは、もっと地味な点だ。電解液が消防法上の危険物に当たるかどうか、である。
液体の電解液は引火性があり、一定量を超えると危険物として扱われる。すると、敷地の境界や建物から離す距離、消火設備、届出の手続きが重くなる。広い土地を確保できない都市近郊の変電所跡地では、ここが事業の成否を分ける。
発火リスクの低下が保険と融資に及ぼす影響
発火しにくいという性質は、安全面だけの話ではない。蓄電所の事故が相次ぐと、保険料の上昇や融資審査の厳格化につながる。実際に海外では、大規模蓄電所の火災を受けて、自治体が建設を止めた例が複数ある。
固体電解質に変われば、事故の確率だけでなく、事故が起きたときの被害の広がりも小さくなると期待される。金融機関から見れば、リスクが読みやすい案件になる。資金調達の条件が良くなることは、機器価格の差よりも大きな効果を生む可能性がある。
実用化の時期は用途ごとに大きくずれる
全固体電池は、車載用と定置用で量産の順番が違うと見るのが自然だ。車載用は、小型軽量と高出力が求められ、開発資金も集中している。一方で、系統用は容量が桁違いに大きく、コストが最優先になる。
現在の系統用では、安価なリン酸鉄系のリチウムイオン電池が主流である。この低価格に全固体電池が追いつくには、材料費と製造歩留まりの両面で時間がかかる。つまり、法規制の緩和という利点があっても、価格差が大きければ導入は進まない。普及は、まず設置の制約が厳しい限られた立地から始まるだろう。
見落とされがちな独自の論点は規制の側にある
電池が変わっても、法令が自動的に変わるわけではない。消防法の危険物の基準は、電解液の種類や量に基づいて定められている。固体の電池をどう位置づけるかは、新たに判断を求められる。
つまり、技術の実用化と制度の整備には時差が生じうる。製品が出ても、運用の指針が追いつかない期間が発生する。この空白期間に、先行して消防当局と協議を重ねた事業者が、設置条件の緩和を得やすくなる。技術の動向と同じ熱量で、規制の動向を追う必要がある。
ビジネスへの影響
今の案件に全固体電池を前提として組み込まない
現時点で計画している蓄電所は、既存のリチウムイオン電池を前提に採算を組むのが現実的である。全固体電池の価格や供給量は、まだ不透明だからだ。待ちの姿勢で着工を遅らせると、系統接続の枠や補助金の機会を失いかねない。
ただし、敷地設計には余白を持たせたい。将来の電池入れ替えを見据えて、受電設備や配線を共用できる構成にしておくと、後の更新費用を抑えられる。
ウェビナーで確認すべき三つの質問
参加するなら、次の点を押さえたい。第一に、全固体電池が消防法上どう扱われる見通しか。第二に、系統用向けの量産開始時期と想定価格。第三に、既存設備との互換性である。
電池メーカーの発表は、車載用の話が中心になりやすい。定置用に絞った情報を引き出す姿勢が必要だ。
設置条件の緩和を見据えた土地戦略
将来、離隔距離が短くなれば、これまで使えなかった小さな土地が候補になる。工場の遊休地や商業施設の駐車場などが該当する。今のうちに、そうした土地の所有者と関係を築き、条件を整理しておけば、規制の変化に素早く動ける。
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